ICL手術を受ける前に必ず必要なのが検査です。
コンタクトレンズを外さなきゃいけなかったり、時間もかかるので手間がかかるイメージがあるかもしれませんが、手術を受けるにあたり検査はとても大切です。
そこでどんな検査をするか知りたい方や理解を深めたい方に向けて、ICLの検査を業務の一部としておこなっている視能訓練士の私が検査について解説します。ぜひ最後まで読んでみてください。

ここでわかること
・ICL手術のための検査内容やかかる時間
・検査の注意点や知っておくと良いこと

【自己紹介】
眼科勤続年数・約15年の現役視能訓練士(国家資格保有の眼科検査員)です。
関東の端っこの小さい病院で日々検査業務から手術の準備等に関わっています。
ここでは眼科検査員である視能訓練士の立場から、ICLの検査について説明します。
<注意点>
検査の流れは各病院によって違いがあります。
おおまかに多くの病院で採用されているだろう方法を書いていますので参考程度に読み進めていただけたら幸いです。
ICL手術の検査とは?
ICL手術の検査とは、目の状態が手術に適しているかどうかの判断と、目の中に入れるレンズの度数を決定するためにおこなわれます。
多くの場合は2回に分けて検査を行います。1回目に手術に適しているかどうかの判断をして、問題がなければ2回目に目の中に入れるレンズの度数を決定するための検査をおこないます。
1回目:目の状態を知るための検査
視力検査をして近視度数を確認したり、目の中にレンズを入れられるスペースが十分にあるかなど、手術適応の決められた条件をクリアしているかどうかを調べます。
検査自体は割と簡易的なので、20分くらいでできる病院が多いのではないでしょうか。ただしその後に診察したりカウンセリングの時間もあるので、1時間ほど余裕を持っておいた方が良いです。

その際検査だけでなく、医師が今までの病歴や全身状態の確認をし、生活スタイルなどからICLが本当に適切であるかを見極め手術が適応かを調べます。

なるべくお待たせしないように努力はしていますが、特に近視矯正専門でない病院は急患さんがいたり混み合うことでお時間をいただいてしまうことがあります。。
本当に申し訳なく思っております。この場で謝罪します。。
2回目:目の中に入れるレンズの度数を決定するための検査
目の中に入れるICLの度数を決めるために詳細に近視や乱視の度数を調べます。手術後の見え方の希望を聞きながら、どのくらいの度数が良いかを判断する大切な検査です。
この検査は普段の視力検査よりも詳細に丁寧に検査するので時間がかかる上、点眼薬を使用してより詳細に正しい結果を出すようにしています。点眼薬の効いてくる時間の兼ね合いと加えていくつか検査もあるので全部で2~3時間ほどかかります。

病院によって違いがあり、1回で全ての検査をおこなうこともあります。
ですが「目の状態が手術に適しているかのための検査:約20分」と「目の中に入れるレンズ度数の決定のための検査:約2~3時間」は必ずおこないます。
手術前に2回検査する理由
多くの眼科では2回検査するケースが多いように感じます。
✔1回目:ICLを入れて良い状態の目なのかをざっくりと調べます。
✔2回目:ICLを入れる度数について細かく精査していきます。
精査するにも数時間かけて検査をおこなうため、1回目から精査をおこなってICLは不適応だとなると時間もお金もかかるので、まず1回目の検査で手術を受けられるかどうかの簡単な検査で判断してから2回目と進むことが多いようです。
検査項目
検査内容は医師の指示により多少違いが出るため各眼科によって検査内容は異なりますが、その中でも検査する可能性が高い項目を挙げます。
レフケラ | ノンコン | 視力 | コントラスト視力 | サイプレ |
角膜内皮上皮 | 角膜解析装置検査 | 眼軸 | 瞳孔径 | フレアメーター |
ドライアイ | 眼底検査 | 細隙灯検査 |
レフケラ
機械をのぞくと気球が見えてピントが合ったり合わなかったりする、よくおこなわれる検査のことです。これは視力検査のために遠視か近視、乱視などの度数を調べています。
ノンコン
眼圧を測定します。目に風が当たりこの検査嫌いという方は多いのではないでしょうか?眼圧は目の状態を知る大切な視標なので頑張って検査を受けましょう。
視力
レフケラで測定した結果を元に視力検査をおこない、どのくらいの近視や乱視の度数か、視力1.2が出るのかなどを調べます。
コントラスト視力
ICLの手術後に「コントラスト感度低下」と言って明るい所や暗い所で見えにくくなる現象が起こることがあります。そのため事前にコントラスト感度を検査して結果を調べておくことがあります。
サイプレ
「調節麻痺剤」と言って、ピント合わせの力を取り除き本来その人が持つ正しい近視や乱視の度数を調べるための点眼薬を指して調べます。
普段から物を見る時は多少なりとピント合わせをして見ていますので、そのせいで近視度数がおかしな値として出てくることがあります。そのため普通の視力検査で近視度数を調べるだけではなく、サイプレという点眼薬をさして近視度数を改めて確認します。

このサイプレという点眼薬は、人によっては2日くらい効果が持続し物が見えにくくなったり眩しさを感じます。なので翌日に予定のない日に検査受けに行くなど工夫すると良いですよ。

また、サイプレの効果が一番効いているのは点眼してから約1時間後です。
なので検査をおこなうのに時間がかかります。
角膜内皮上皮細胞
眼の表面には細胞がありますが、手術後は多少細胞数が減ると言われています。この細胞数が元々あまりに少ない人は物が見にくくなる原因にもなるので手術は受けられません。そして手術前後でこの細胞数がどうなったか変化を確認しています。
角膜解析装置検査
この機械で目の形と目の中にレンズが入るスペースがあるかどうかを調べる検査をします。
眼軸
眼の長さを測定します。
瞳孔径
瞳孔の大きさを調べ、手術の際の参考にすることがあります。
フレアメーター
眼の中の炎症具合を調べる検査です。医師が診察時に観察できるので検査としておこなわれないことも多いです。
ドライアイ
手術後ドライアイを感じる方が少なからずいますので、中には事前にドライアイの状態を調べることがあります。点眼薬で良くなる人や治療が必要な人もいますので、あまりにひどいドライアイがある人はまず治療が優先となる場合もあります。
眼底検査
もし目の奥の眼底という場所に何か問題がある場合、せっかくICLを入れても手術後の見え方が良くないこともあります。そのため事前に眼底に問題がないか確認します。
細隙灯検査
医師の診察時に、眼の中の表面からICLを入れるところくらいまでの場所の状態を見るためにおこなわれます。

検査項目が多くてびっくりするかと思いますが、どれも大切な検査ですのでしっかり受けましょう。
そして眼科検査の合間に血液検査だったり内科的検査もある場合があります。
ICL検査の時に知っておくべきこと
検査結果を正確にするためには検査員の技術だけではなく、手術を受ける方の協力もあるとより良い検査結果が出ます。ぜひ参考にしてみてください。
たくさん検査するので時間がかかる
検査項目をあげただけでもわかるように検査種類が多くあり、特に2回目の検査は更にサイプレ点眼の検査をおこなうと軽く2~3時間くらいはかかります。
なるべく短時間で済ませられるよう検査の順番を工夫したりしますが、どうしても時間がかかってしまいます。なるべく前日疲れるようなことはせず、検査に集中できる状態でいておくことをお勧めします。

最後の方はうんざりして疲れてしまう気持ちもよくわかるのですが、正しい検査結果を出すためにも最後までお付き合いください。。
検査前のコンタクト外す期間は守る
検査前は何日か、もしくは何週間かコンタクトレンズを外すよう指定されます。
コンタクトレンズを装用する事で眼の形が変わり、検査結果に影響します。そのため、ソフトコンタクトレンズなのか、乱視用か、ハードコンタクトレンズなのかによっても外す期間が違いますので言われたとおりの期間はしっかり外すようにしましょう。これは各病院の指示に従ってください。

ちなみに検査後から手術前までの期間はコンタクトレンズ装用しても問題ないです。ただし手術前にコンタクトレンズつけっぱなし、などのトラブルを起こさないよう気を付けてください。
検査の時メイクはして良い
眼科によって違いはありますが、個人的には目の周りの濃いメイクでない限りは問題ないと感じています。
ただし検査によっては検査員にまぶたを上げられたりしますし、メイクが落ちて眼の中でごろごろして涙が止まらなくなったなとどいうことで検査結果が変わる可能性はゼロではありません。
メイクは控えめにしておくにとどめておくと無難です。
検査員は視能訓練士かどうか
検査は視能訓練がおこなっている方がより専門的な知識を兼ね備えていますので安心して検査を受けることができます。
眼科検査全般は基本的に視能訓練士がおこなっていますが、無資格の方が検査をおこなっていることもあります。無資格がダメなわけではないですが、現場にいて有資格者との知識の差は歴然だと感じる事は多くありますので気にかけてみてください。
よくある質問
Q、検査費用はどのくらいかかりますか?
A、病院によって違いがありますが5000円から10000円ほどの病院が多く、検査後に手術を受けることが決定した場合は手術費用の一部に含めるケースもあります。ただし手術に至らなかった場合は返金されません。
**1回目の検査は無料でおこなっている病院もあります**
**まずは検査だけ受けたい場合は、無料で検査してくれる病院を選ぶのも良し**
Q、検査に痛みを感じることはありますか?
A、痛みを伴う検査はほとんどありません。
Q、検査結果はすぐに教えてくれますか?
A、検査したその直後に医師より詳しい説明がありますので、すぐ結果はわかります。
まとめ
ICLの検査は、目の状態が手術に適しているかどうかの判断と、目の中に入れるレンズの度数を決定するためにおこなわれます。時間も多くかかり検査項目もたくさんあり、うんざりしてしまうかもしれませんが、どれも大切な検査なので頑張って受けてくださいね。